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銀(Ag)は、展延性(のびやすさ)と延性(薄く広げやすさ)に優れた貴金属です。
その加工性の高さは、一度、火に当て一定の温度まで加熱することで、繊細な造形が可能になり、鍛金・彫金・鋳造など、あらゆる金工技法との相性が非常に良いという特長を持ちます。
さらに、銀はすべての金属の中で最も高い光の反射率(約95%)を持つ、金属の中で一番白い金属。
その柔らかな光沢は他の素材では再現できない、独特の輝きを放ちます。
いわゆる「純銀(Fine Silver)」は99.9%以上が銀ですが、その柔らかさゆえに変形や摩耗が生じやすく、日常使いの装身具には不向きとされています。
そこで登場するのが、「Silver925」、またの名をスターリングシルバーです。
これは銀92.5%に対し、銅7.5%を加えた合金であり、銀本来の輝きを保ちつつ、適度な硬さと耐久性を備えています。
銅の添加により、繊細な造形が可能となり、StudioMIZHAのような精密なデザインを表現するのに最適な素材となります。
銀のもう一つの特徴に、「硫化(Sulfurization)」と呼ばれる自然化学反応があります。これは空気中の硫黄成分と銀が反応し、表面が徐々に黒や焦げ茶、時に青みがかったグレーへと変化する現象です。
一般的には変色=劣化と見なされがちですが、StudioMIZHAではこれを「陰影を浮かび上がらせる造形の演出」として積極的に活用しています。
特に、植物や生命をモチーフとした有機的な作品では、硫化による濃淡が葉脈の凹凸や曲線の陰影を強調する大切な表現法となっています。
このようにStudioMIZHAでは、銀の色変化を「素材の個性」として受け入れ、作品の一部として取り込む表現美を追求しています。
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